第26回肝細胞研究会

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原点回帰

東海大学医学部再生医療科学 教授
同 大学院医学研究科 マトリックス医学生物学センター長
稲垣  豊

この度、第26回肝細胞研究会をお世話させて頂くことになりました。

ご推挙頂いた世話人の先生方をはじめとする会員諸氏に、厚く御礼を申し上げます。

ご承知の通り、本研究会は徳島大学名誉教授 市原 明先生が1985年に立ち上げた初代培養肝細胞研究会に端を発しています。肝細胞は、その多様で複雑な機能を介して体内物質代謝において中心的役割を担っており、ごく限られた機能しか維持しえない従来の培養肝細胞株に替わって、初代肝細胞を用いて物質代謝やホルモン応答性の解析、さらには増殖因子の作用を解明しようとするものでした。これを受け継ぐ形で1994年に現在の肝細胞研究会が設立されて、25年が経過したことになります。次の四半世紀への橋渡しとなる第26回の学術集会を主催させて頂くことは、たいへんな名誉であるとともに責任の重さも実感しています。

さて、わが国において長年の課題であったC型およびB型ウイルス性肝炎の治療にようやく道筋が見えるようになってきました。その一方で、ウイルス排除後の線維化と発癌、さらに内臓肥満やメタボリック症候群を背景とする非アルコール性脂肪肝炎患者の増加が、新たな問題を生み出しています。肝臓学領域においては、これまでの肝炎ウイルス研究に加えて、糖・脂質代謝や線維化・発癌の問題、さらには再生研究がますます活発化し、本研究会が果たす役割もいっそう大きくなるものと思われます。

本研究会の特徴として、基礎と臨床の研究者が自由闊達な意見交換を行う場として、また若手や中堅クラスの研究者に自由な雰囲気のもとで発表と討論の機会を与えることにより、大きな発展を遂げてきたことがあります。昨今の社会情勢の不透明化や目先の成果を求める風潮により、若手・中堅研究者の内向き指向や研究成果至上主義が助長され、ともすれば学問本来の面白さを見失っていることは、多くのシニア研究者が共有する懸念かと思います。今回の会場となる横浜市開港記念会館は、開港50周年を記念して大正6年に竣工された国の重要文化財です。参加者各位におかれては、その歴史的な佇まいとともに、新しい国家を建設するために幕末から明治の激変期を生き抜いた当時の若者の心意気にも思いを馳せて頂ければ幸いです。

第1日目の懇親会は、横浜中華街での開催を予定しています。

多くの先生方の本研究会へのご参加とご発表を、心からお待ち申し上げております。

開催会場

事務局

第26回肝細胞研究会 事務局
東海大学医学部
基盤診療学系再生医療科学
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